「HiGE」という規格すら超えた解放感

HiGE『サンシャイン』
2010年07月14日発売
ALBUM
HiGE サンシャイン
07年の『Chaos in Apple』は、トリッキーでヒールな魅力が絶頂に達した究極のアルバムだった。しかしその強烈さによって、良くも悪くもバンドは限定的なイメージや固定概念を背負ったし、聴き手の色眼鏡は未だに残っている。そんな状況を私は内心歯がゆく思っていた事に、今作を聴いて気がついた。“青空”や“サンシャイン”の「心」に焦点をあてた楽曲の眩さ。フィリポとコテイスイが歌い、奥田民生がドラムを叩く“オニオン・ソング”の牧歌的な楽しさ。そんな胸が躍る名曲揃いの今作。過去にも “せってん”などシンプルな名曲は存在したし、表現の振れ幅の広さは常に提示されてきたが、『サンシャイン』ほどHiGEの美しさやユーモアが、純粋に際立った作品はかつてない。HiGEは遂に『Chaos in Apple』とは別の次元に、新たな最高傑作を打ち立てたのだ! 

ROCKIN'ON JAPAN 2010年8月号のインタビューのとおり、バンドは危機的状況を経験したが、アイゴン加入や民生などプロデューサー、外部ドラマーを招く荒技の果てに、こんな晴れやかな作品を完成させた。やっぱりHiGEは、異常で、自由で、最高だ。(福島夏子)  
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