ART-SCHOOLの真髄、きわまる

ART-SCHOOL『Anesthesia』
2010年07月07日発売
MINI ALBUM
ART-SCHOOL Anesthesia
いつも以上に、帰る場所をなくした子供の様に途方に暮れ、手の届かない「あなた」への思慕に溢れている。新メンバー加入後に生まれた『14SOULS』は、バンドの一体感を全面に感じる開かれたポップアルバムであり、第3期ART-SCHOOLの幕開けを強く感じた。それから約1年後にリリースされる『Anesthesia』は、木下理樹の根底にある喪失感と彷徨がびっくりするほど、むき出しになっている。しかし、前作で感じられた力強いバンドサウンドは失われていない。M2“Anesthesia”では打ち込みと躍動感のあるギター、性急なドラムが突き刺さってくるし、M6“Siva”ではずいずいと進んで行くアグレッシブなドラミングとひずみまくったギター、太く響くベースのアンサンブルと木下の危うげなボーカルのアンバランスさがめちゃくちゃ良い。アートの音楽がただ陰鬱なもので終わらないのは、戸惑いの言葉に乗るメロディが、すごくポップで美しいから。結成10年、幾度と無く訪れた危機を満身創痍になりながら乗り越えてきた。その全てが彼らの血となり肉となり、この作品に繋がっている。(山本恵子)
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