THE ORAL CIGARETTESやフレデリックを輩出したMASH A&Rのオーディションで昨年度グランプリを獲得。以来注目度も急上昇（ＭＶの再生回数は40万回超！）、全国デビューが待たれていたSaucy Dogが、ミニアルバム『カントリーロード』をリリース。同オーディションの決勝審査で披露されるや否や場内の空気を塗り替えた渾身のバラード“いつか”をはじめとした全7曲、とにかくどれもメロディが格別にいい。そして、透明でありながらもささくれだっているような、硬質でありながらもどこか儚い石原慎也（Vo・Ｇ）の歌声や、歌詞における言葉選びの巧みさにも心揺さぶられる。しかし彼の存在のみが目立っているわけではなく、その歌を浮かび上がらせつつ遊び心を効かせるリズム隊のファインプレーもキラリと光る。歌モノバンドは数多かれど、この3人の絶妙なバランスには底知れない魅力――もっと言うと、ここから大きく化けそうな予感を感じさせられた。いい歌・いい曲・いい演奏という至上の武器はすでに手にしている。このまま、王道を進んでいってほしい。（蜂須賀ちなみ）