シンガー・ソングライターの品格

アンドリュー・マクマホン『ファイヤー・エスケイプ』
2017年06月07日発売
ALBUM
アンドリュー・マクマホン ファイヤー・エスケイプ
サムシング・コーポレイト、ジャックス・マネキンと大きな成功と評価を得ながらも、自らの名前を冠したソロ・プロジェクト「アンドリュー・マクマホン・イン・ザ・ウィルダネス」をあえてスタートさせたのは、バンドの存在やパブリック・イメージが大きなものになって、自分の実像・人生の実相や、やりたいこととの乖離が大きくなってきたからではないか。だからこそ彼は自らをあえて「荒野」の中に置く必要があったのだと思う。

そして3年ぶりとなるソロ第2作がこれ。キャリア20年目のメジャー2作目でもある。外部ライターを大挙起用した楽曲は過去最高にポップで、エレクトロニックな味付けを増したアレンジも華やかでゴージャス。メジャー・プロダクションらしい作品ということになるが、セルアウトした嫌みを感じないのは、この人の音楽に向かう姿勢にブレがないことがよくわかるから。歌詞のテーマ性よりも音楽的な冒険心が勝ったアルバムと言えるだろうが、シンガー・ソングライターとしての品格はヒットした”ファイアー・エスケイプ”のような曲からも十分にうかがえるはずだ。( 小野島大)
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