デビュー20周年を記念した初のオールタイムベストは全50曲、3枚組というボリューム。アルバムタイトルに合わせ、「Discイ」「Discロ」「Discハ」に分けられ、それぞれのテーマに沿って選曲されている。ずらりと並んだ名曲にゆずの軌跡の濃さを思うが、それはここで語るまでもないだろう。今回は3枚それぞれに1曲ずつ収録されたスペシャルトラックに注目したい。まず、いきものがかかりとの〝イロトリドリ〟。エレポップ仕様で、ゆずのアニバーサリーを共に祝うかのような共演が楽しい。そして、back numberとのコラボは〝サヨナラバス〟。清水依与吏とゆずののハーモニーはまさに格別。この曲のセンチメンタルな雰囲気がback numberによく合っていて、《やっぱり君が好きなんだ》と歌う清水の声にも、ゆずの楽曲との親和性を感じる。そして、SEKAI NO OWARIとの共演には驚いた。ゆずが路上時代から歌っていた〝悲しみの傘〟。この切ない失恋ソングが、今回の共演により、ゆずの足跡を照らす新たな物語を宿したかのよう。素晴らしい。3枚組のラストを飾る曲として、これ以上のものはない。（杉浦美恵）