レイ・デイヴィス作アメリカ物語

レイ・デイヴィス『アメリカーナ』
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ALBUM
レイ・デイヴィス アメリカーナ
さすが、レイ! 10年待った甲斐がある傑作だ。〈アメリカ〉は彼にとってこれまでも最大のテーマの一つであった。屈折した憧憬をサウンドに昇華してみせた『マスウェル・ヒルビリーズ』(71年)、ハリウッドへのオマージュが“セルロイドの英雄”という傑作を生んだ『この世はすべてショー・ビジネス』(72年)と、キンクスでの経験を下地にしながら13年に出した同タイトル自伝とリンクした世界をくり広げていく。
 レイによると曲が先にあって本が書かれたそうで、その関連性や凝った仕掛けはじっくり読み解くしかないが、バックを受け持ったオルタナ・カントリーの雄ジェイホークスの演奏もピタリとハマり、とくに女性メンバーのカレンの歌は大きく世界を拡げるし、“ザ・マン・アップステアーズ”では“オール・オブ・ザ・ナイト”が突然歌い込まれ喜ばせてくれる。この人ならではのメロディラインが美しい“ポエトリー”、壮大な“ア・ロング・ドライヴ・ホーム・トゥ・ターザーナ”などどれも味わい深いクオリティの曲がぎっしりと並び、最後に“ウイングス・オブ・ファンタジー”と締めくくるのもレイらしい。(大鷹俊一)
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