ケイティ・ペリーのニュー・シングルだが、オリンピック応援ソングとなった昨年の“ライズ”が単独シングルだったのに対して、おそらくこれは渾身の傑作となった4th『プリズム』以来、実に4年ぶりの新作の一部となるもの。前回は離婚などの個人的な傷を乗り越えていく究極の自己高揚アルバムだったが、あれだけの歓喜と興奮を形にした後にはどんな作品世界が続くのかと思っていたところ、ケイティの現在を見事に体現する素晴らしいシングルになっている。曲調はミッドテンポのポップ・ソングで、曲を絶妙なベースラインが貫いていることと彼女の非の打ちどころのないメロディラインとがあいまって完璧すぎるダンス・ポップとして完成している。歌詞は、自分たちの世界に引き籠っているばかりで、それで本当にいいのかという問いかけを逆説的に歌い上げる、ケイティならではの説法となっている。昨年ヒラリー・クリントンの支援に力を入れてきたケイティだが「他者を知れ」というのは確かに大きな教訓だったのかもしれない。精密なドールハウスとハムスターを使ったリリック・ヴィデオもこの曲のアイロニィをよく伝えていて秀逸だ。（高見展）