魅力的な硬軟のメリハリ

ロス・キャンペシーノス!『シック・シーンズ』
発売中
ALBUM
ロス・キャンペシーノス! シック・シーンズ
4年ぶり6枚目の新作は、古巣〈ウィチタ〉からリリース。とはいえ、原点回帰的なムードは見受けられず、彼らにしては珍しく空いたブランクが、フレッシュな勢いをバンドにもたらしたことが7人の演奏から伝わってくる。

ミキシングとマスタリングにハイムやアラバマ・シェイクスを手がけるスタッフを配したサウンドは、過去の5枚の作品と比べると楽曲の厚みも音色の奥行きもいくぶん増した印象。アルバム前半は彼ららしいアップ・テンポでフックの効いたギター・ロック/ポップで楽しませてくれるが、転じて後半では懐の深いミッド・テンポの演奏でじっくりと聴かせてくれる。なかでも白眉は10曲目“ア・リタニー/ハート・スウェルズ”。タメを活かしたバンド・アンサンブルと叙情的なヴォーカル&コーラス、そしてサイケデリックな風合いのアトモスフェリックな音響処理が織りなすサウンドスケープが素晴らしい。2年前にツアーに同行したパフューム・ジーニアスの音楽からの影響もあるそうで、なるほど、新たなインスピレーションが創作を刺激したことは聴いて納得。次への展望が開けるような意欲作だ。(天井潤之介)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする