先鋭ユニットならではの瞑想

シャーウッド&ピンチ『マン Vs. ソファー』
発売中
ALBUM
シャーウッド&ピンチ マン Vs. ソファー
プロデューサー、リミキサー、アーティスト、DJ、さらにレーベル代表として一瞬たりとも止まることを知らないエイドリアン・シャーウッドがブリストル・ダブステップを牽引してきたピンチと結成したユニットの『レイト・ナイト・エンドレス』(15年)に続く2ndアルバム。今回で本格的にユニットとしてのサウンドを見つけられた気がするとシャーウッドは語っているが、確かに鋭角的な部分は相変わらずだけれども、その奥に揺らぐ像やサウンド・イメージがより立体的に迫ってきて聴きごたえがある。おそらく彼はそこらの感触を〈メディテーティヴ(瞑想的な)〉と表現しているのだが、実際の音として説得力を持っているし、例えば所蔵している古いピアノをタックヘッドのスキップ・マクドナルドやプライマイル・スクリームのマーティン・ダフィが弾いている音などとても耳に残る。“メリー・クリスマス ミスター・ローレンス”のカヴァーも、聴く前は驚かされたが、全体のトータリティの中では見事にハマっており、なんの違和感も感じないし、半分ほどで〈正しく歪んでいく〉姿にこのユニットならではの方向性と、さらなる可能性の拡がりを実感する。(大鷹俊一)
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