KEYTALK10枚目のシングル表題曲“ASTRO”は王道中の王道というべき曲。戦うように掛け合いを繰り広げるツインボーカル、その裏で異彩を放つギター、疾走感溢れる4つ打ちビート、2分48秒という短時間で熱量をすべて出しきる曲設計――など、耳に残るのはどれもこのバンドが培ってきたアイデンティティ的要素ばかりだ。2016年リリースのシングル3枚ではメンバーそれぞれが「今のKEYTALKに必要なもの」を持ち寄っている印象があったが、本作のカップリングはライブ音源であり、新曲はこの1曲のみ。つまりそれだけ、4人の中には確信があるということだ。

そして歌詞が素晴らしい。「現在の自分から過去の自分へ送るエール」というテーマは一歩間違えれば綺麗事に終わってしまう危険性もあるが、怒涛の勢いでリリース＆ライブを重ね階段を駆け上がってきたKEYTALKだからこそ強い説得力を宿すことができる。流れゆく時間、変わりゆく自分の中で、4人が決して手離さなかった想いとは。「夢のその先」を進む物語はまだ続くが、この曲があればきっと大丈夫。（蜂須賀ちなみ）