80年代ポップ・ロックの極み
ジャーニー『エスケイプ35周年記念デラックス・エディション』
発売中
発売中
ALBUM
17年4月にロックンロール名誉の殿堂入りが決定したジャーニーの代表作といっていい『エスケイプ』の35周年記念盤。キャリアを通して9000万枚ものセールスを誇るモンスター・バンドだが、実はチャート1位を記録したのはこのアルバムだけという、彼らのピークを名実ともに体現する作品だ。実際、本アルバムはニール・ショーンを核とするアグレッシヴなサウンドと、スティーヴ・ペリーのヴォーカルと、キーボードのジョナサン・ケインによるどこまでもポップなアレンジが見事に融合した楽曲が勢揃いした構成になっていて、まさに黄金期ここにありという内容だ。もともとアメリカン・プログレからハード・ロックへという方向を辿っていたジャーニーだが、このアルバムではもうほとんどポップ・ロックといっていいサウンドにまで自分たちの音を磨き上げることに成功していて、ある意味、80年代以降のメインストリーム・ロックのサウンドを形づくったと言ってもいい。また、傑出した曲はどれもバラード系で、そのメロディがとてつもなくよくできているのは、やっぱりこのバンドのピークを示すものだとしか言いようがない。(高見展)