当時と変わらぬ生々しさで追体験

ジェフ・ベック・グループ『ラフ・アンド・レディーSA-CDマルチ・ハイブリッド・エディションー【完全生産限定盤】』
発売中
ALBUM
ジェフ・ベック・グループ ラフ・アンド・レディーSA-CDマルチ・ハイブリッド・エディションー【完全生産限定盤】
今回のSA-CD再発シリーズで最後を飾る1枚となったが、時代的には最も古い1971年のアルバム。第1期ジェフ・ベック・グループでハード・ロックを作り出したジェフ・ベックは、その発展に関してはジミー・ペイジに任せたかのように放り出し、新たなメンバーを集めて、もっとソウルフルでファンキーな音楽に挑んだ。黒人のシンガーとベーシスト以上に、マックス・ミドルトンの鍵盤と、このあとレインボーなどで叩きまくるコージー・パウエルのドラムがそのサウンドを支えているように感じられるのが面白い。そしてベックのギターは、ベック以外の何物でもなく、そのスパークぶりは45年後の今になって聴いても十分に刺激的だ。

サラウンド・ミックスは、これがベック初のクアドラフォニック作品ということもあってか、やりすぎと思う人もいるかもしれないが、2曲目のアッパーな感じが増したり、個人的にはその賑やかさを大いに楽しんだ。単純に音の分離もよくなり、優れたプレイヤー達の演奏を聴きこむにもマルチ・チャンネルはいいと思う。『ワイアード』を再評価したばかりなのに、やっぱり最高に好きな作品はこっちだと確信。(鈴木喜之)
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