パンク精神をあらわに

AFI『AFI』
発売中
ALBUM
AFI AFI
バンド結成25周年を迎えてのリリースとなる通算10作目のアルバムは、セルフ・タイトル(通称、ブラッド・アルバム)。ギル・ノートンがプロデュースを手がけた前作『ベリアルズ』(13年)は、これまでのAFI作品のなかでも、ダークでヘヴィな面が強調されたサウンドだった。硬質なインダストリアル・ミュージックの要素もふんだんで、しかし油をたっぷりさしたメカニカルな感覚よりも、AFIらしい退廃感漂う、しんとしたムードがあったが、今作はAFIのパンクな面やポップ性が際立っている。プロデュースは、ギタリストであるジェイド。共同プロデューサーも立てているけれど、バンド内で完結するようなコンパクトさやDIY感も重視されているような感触だ。NITRO RECORDSに所属していた当時のパンキッシュさとまではいかぬまでも、当時の衝動感の現在形を貫禄のあるサウンドで聴かせていて、またデイヴィーの艶やかなヴォーカルが映えるポップなメロディが聞こえてくるのが嬉しい。最大のヒット作となったアルバム『ディセンバーアンダーグラウンド』(06年)から10年を経て、新たな名盤を作ろうという心意気が伝わる。(吉羽さおり)
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