語り部ガガ

レディー・ガガ『ジョアン』
発売中
ALBUM
レディー・ガガ ジョアン
オリジナルとしては、『ザ・フェイム』からのエレクトロ・ポップ・ファンクの流れの究極的な内容となった傑作の3枚目『アートポップ』以来のレディー・ガガの新アルバム。タイトル曲の“ジョアン”はカントリー的なギターの弾き語り風作品だ。この曲でガガは、自身のアーティスト活動を触発し、19歳でこの世を去った叔母のことを歌っていると語っているが、それはまた同時に自身への問いかけともなっている。では、なぜカントリーなのかというと、今回は自分なり、キャラクターなりについて語る必要を感じたからだ。これまでのガガは徹底して心象の描写に力を入れてきて、たとえば殺人的なフックで「わたしのオーラの裏にどんな少女が佇んでいるのか見てみたくないの?」という問いかけだけですべてを語ってきたのだが、今作では物語として綴ることに主眼を置いていて、それゆえのカントリーなのだ。では、カントリー・アルバムなのか、というとまるでそんなことはなく、マーク・ロンソンも加わり、見事なモダン・ポップとして完成している。終盤で素のガガのソングライティングに戻っていくところが特に感動的。(高見展)
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