洋楽的アプローチを自己流に変換した“In the Morning”、大森元貴（Vo・G）が高校時代に作った曲の断片を再構築した“ツキマシテハ”、電子サウンドで描く冒険譚“Oz”から成る3rdシングル。異様に濃度の濃い作品だが、その理由をふたつ挙げたい。ひとつ目は、サウンド面において挑戦的なアプローチをしているから。成長期真っ只中のバンドがそのスピード感を曲に落とし込むことはめちゃくちゃ正しい行為だし、その時のエネルギーは計り知れないものである。そして大事なのが、やっていることが新しかろうと肝心の軸がブレていないこと。これがふたつ目の理由だ。表裏一体の愛情と傷跡を暴いてきたミセスの音楽はいわば「闘い」の歌であるが、先述のように新たなステージに挑むことはバンドにとってのひとつの「闘い」。ずっと歌ってきたことをその身で体現しているからこそこの3曲は揺るぎない説得力をも宿しているのだ。つまり、「革新的」と「核心的」を同時にやってのけたのがこのシングルだということ。もう何度目かわからないが、このバンドの凄まじさを改めて噛み締めた。（蜂須賀ちなみ）