THE BACK HORNがストリングスとナマで初共演したのは、'15年4月に渋谷公会堂で行った「KYO-MEI SPECIAL LIVE～人間楽団大幻想会～」だ。ぶっちゃけ慣れてない感丸出しで荒削り、でもそこがTHE BACK HORNらしくて涙が出た。そのライブでコーラス隊も入って演奏した“世界中に花束を”がカップリングに入っている。このシングルは、ここから始まっていることを彼らは伝えたいのだと思う。“With You”は柔らかなピアノと歌から始まり、バンドサウンドとストリングスが絶妙に入っていく。プロデューサー亀田誠治と共にアレンジしたようだが、長足の進歩を感じさせるスケール感だ。11月から全国5ヶ所で行うストリングスを伴うツアー「KYO-MEIホールツアー」では、こんな演奏で包み込んでくれるのだろうか。いやいや彼らがそれで収まるわけはない、という予感させるのがカップリングの“言葉にできなくて”。こちらはドロップビートを生かしたパンキッシュなナンバーで、バンドのパワーが軽やかに炸裂する。力技でなく振れ幅を広げた彼らの可能性が、新たな共鳴を生むはずだ。（今井智子）