Wish You Were Here

LOU REED『THE RCA & ARISTA ALBUM COLLECTION』
発売中
ALBUM [IMPORTED]
LOU REED THE RCA & ARISTA ALBUM COLLECTION
3年前に亡くなったルー・リードが最後まで心血を注いでリマスタリングに立ち向かったRCA、アリスタ時代に残した16枚のボックス・セット。アルバムでいうと、ソロ・ファーストの『ロックの幻想』(72年)から『ミストライアル』(86年)までで、『無限大の幻覚〜メタル・マシーン・ミュージック』(75年)みたいなものもあれば代表作の『トランスフォーマー』(72年)、アルコール、ドラッグのせいもあってやや不安定なものまでいろいろと含まれているのだが、おそらく彼がもっともこだわったのは『ストリート・ハッスル』(78年)や『テイク・ノー・プリズナーズ・ライヴ』(78年)で試みたバイノーラル録音をきちんとこの時代のオーディオ環境にアップグレードするというところだったろう。その狙いは異様な位相空間という形でみごとに達成されており、現在のヘッドホン全盛時代を40年近く前に予感した音としてリアル・タイムとは違った受け止め方がされていいし、実際『ストリート・ハッスル』などは恐ろしいアルバムに生まれ変わっている。この調子で、もっともっと過去の音源再生にも指揮を執って欲しかった。改めて不在が寂しくなるボックスだ。(大鷹俊一)
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