UK新世代のキーマン

ジェフ・ウートン『ザ・ウェイ・ザ・ライト』
発売中
ALBUM
ジェフ・ウートン ザ・ウェイ・ザ・ライト
まだ20代の若さにして、これまでにゴリラズやビーディ・アイ、ブラー(ライヴ・サポート)、ザ・ラスト・シャドウ・パペッツ(ライヴ・サポート)、ノエル・ギャラガー(ライヴ・サポート)など、名だたる大物グループの中で実績を積んできたマンチェスター出身。満を持してのソロ・デビュー作だ。ヘヴィーに歪んだギター・サウンドを武器に美しいサイケデリック・ミュージックを描き出し、ヴォーカルの線は細いものの、オーヴァーダブを駆使するなど自身の表現世界に歌声を溶け込ませる手腕も見事だ。ドラマティックな人力トリップホップ・チューンとして完成した“ソニック・ドリップス”や、デーモンらとのマリ音楽探訪の影響をうかがわせる“ジ・エターナル”の悠久の時の流れに感じられるのは、若きジェフの感受性の豊かさと柔軟さである。ギター・サウンドへの探究心は計り知れないが、必ずしもオールド・ロックの伝統には固執しない感じ。その足取りの軽さと可能性こそが、多くの大物アーティスト達を魅了して止まないのだろう。新世代の息遣いをギター・ワークで伝える、重厚で魅惑的なアルバムだ。自由に突き進んで欲しい。(小池宏和)
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