愛される歌は戦いの上に咲く

いきものがかり『ラストシーン/ぼくらのゆめ』
2016年08月24日発売
SINGLE
いきものがかり ラストシーン/ぼくらのゆめ
いきものがかりは、かっこいい。「ポップス」という茨の道をひたすら凛々しい笑顔を浮かべながら歩み続けている。ポピュラリティを持った音楽であるためには多くの人に共有されやすい要素を軸に据えるのが基本となるわけだが、それは凡庸さや無味無臭な印象にも繋がり得る。そんな困難と真っ直ぐ向き合って乗り越え続けてきたのが、いきものがかりだ。両A面の今作も素晴らしい。かつて一緒に過ごした「君」を思い出しながら、少しは強くなったのかもしれない自分を静かに噛み締めている“ラストシーン”。共に夢を語り合ってきた人とこれからも未来を見つめられる喜びを歌っている“ぼくらのゆめ”。どちらも多くの人の何かしらの部分に重なるであろう普遍的事柄を題材にしつつ、心が震えるメロディと言葉を鮮やかに咲かせている。人の営みは今も昔もそれほど変わらず、自分が大切にしていることは他人も案外同じように大切にしているものだ。たくさんの人々が踏み固めた場所に、いつでもフレッシュで美しい色合いを与えることができる彼らの音楽は、これからもJ-POPシーンの宝であり続けるだろう。(田中大)
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