7年間を凝縮したベストアルバムは大充実の2枚組。1～13曲目ではこれまでの軌跡を辿り、14曲目には初のCD化となる最新曲を、15曲目には初期の頃から大事に温めてきた未発表曲を収録。それが2枚分ある、という構成だ。

全30曲による起承転結は、これまでで最も生々しい。4ピースバンドという枠組みのなかで工夫を凝らす面白さを提示した初期、サウンドが多彩になり明度と輝度を上げた前期、自身の深層に潜り表現の濃度を上げた中期、迷いを捨てるように開放的なサウンドを鳴らす後期――と、その時々の状態が手に取るように伝わってくるからだ。バンドが抱えてきた才気も葛藤も生傷も覚醒も暴く本作はいわばドキュメンタリー。こうやって嘘のない気持ちで音楽へ向かい続けたからこそ、そういう自分の気持ちをしっかりと守ってきたからこそ、今の彼らが歌うポジティヴな言葉や光を想起させるようなサウンドには確かな説得力が宿っているのだろう。彼らを応援してきたファンはもちろん、一見スタイリッシュなこのバンドに近寄りがたさを感じている人にも聴いてほしい。（蜂須賀ちなみ）