この手で掴んだ楽園の温度

Czecho No Republic『DREAMS』
2016年07月20日発売
ALBUM
Czecho No Republic DREAMS
4thアルバムのテーマは「夏」。南国テイストの全12曲は、甘さよりも明るさ(と、その裏にある切なさ)が勝る。ここまでカラフルな作品が生まれた理由として、シンプルなテーマを設定したこと、方向性を統一したうえで3人のソングライター(武井・八木・タカハシ)が個性を炸裂させていることが挙げられる。しかし一番大きいのは、フロントマンである武井の変化だと思う。チェコのライブを観るたびに「キラキラした音楽を鳴らすオシャレなバンド」というパブリックイメージへの反骨心を感じていた(その歪さもかえって魅力的だから少し厄介だ)が、彼はそこに対するひとつの答えを見つけたのでは。「このバンドで鳴らせばどうしたってポップになる」というとっておきの武器と、『Santa Fe』以降表出し始めた音楽家としてのエゴがいい塩梅で両立できている。だからこそ《英雄になんて なれやしない/だけど 僕は君の事 守り抜くから》(“エンドロール”)と歌えるようになったのだろう。みんな笑えるユートピアを作り上げるために闘いを続けていく、このバンドの矜持を感じた。(蜂須賀ちなみ)
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