探求者の永遠なるアップデート

キング・クリムゾン『ライブ・イン・トロント 2015年11月20日』
発売中
ALBUM
キング・クリムゾン ライブ・イン・トロント 2015年11月20日
昨年末は東京6公演含め実に10本の日本公演を行ったクリムゾンが、その直前の11月20日にカナダのトロントで行ったパフォーマンスを収録した今作。“ザ・コンストラクション・オブ・ライト”、“レヴェル・ファイヴ”といった00年代楽曲と“レッド”、“太陽と戦慄パート1”など70年代楽曲、さらには長らくライヴで封印状態だった“エピタフ(墓碑銘)”、“クリムゾン・キングの宮殿”、“21世紀のスキッツォイド・マン”といった1stアルバム曲まで!という選曲だけでも感激必至だが、今作が改めて物語るのは、新たにトリプル・ドラム編成の凄絶な音像越しに自らの楽曲を、というかキャリア丸ごとアップデートし続けていこうとするロバート・フリップの飽くなき探究心だ(80年代『ディシプリン』期の楽曲が外れているのは、その最新フォーマットの音像と楽曲との相性の問題か?)。もうすぐ半世紀に及ぼうとするバンド・ヒストリーを持つキング・クリムゾンの音楽が、今なお懐メロ感を寄せ付けないひりひりした挑戦精神とともに響いているのは奇跡に近い。メロトロンと爆裂ドラムが響き合う“スターレス”に、抑え難く胸が震える。(高橋智樹)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする