何でもできる人の核

アレクシス・テイラー『ピアノ』
発売中
ALBUM
アレクシス・テイラー ピアノ
ホット・チップのフロントマン、アバウト・グループのキーボーディスト、またプロデューサー&コンポーザーとして幾多のコラボもこなす等、幅広い活動を続けるアレクシス・テイラー。そんな彼の2年ぶり3枚目となるソロ・アルバムが本作だ。タイトルがその全てを物語っているピアノ弾き語りアルバムで、これまでの彼のキャリアの中でも極めて特殊な1枚なのは間違いない。相方ジョー・ゴダードのソロがホット・チップのプロトタイプ的作品であるのと対極を行くように、ホット・チップで最大限引き出されていたアレクシスのマルチな才能の出口をひとつだけ残してあとは全部閉めきったら、無茶苦茶ピュアな彼自身の音楽表現の核が精製されてしまったのが本作なのだ。そしてピアノとヴォーカルだけになって改めて気づかされる彼の声の透き通った無垢の美しさを前に、むしろ今までこういうSSWアルバムを試さなかったのが勿体なく感じるほど。アレックス・チルトンの幻のピアノ・アルバムにインスパイアされた作品だそうだが、昨年のトバイアス・ジェッソ・Jr.のデビュー・アルバムを彷彿とさせるフレッシュさもある。(粉川しの)
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