表題曲“オンリーワンダー”は、狙ったところにまっすぐ球を投げるような曲だ。まず、押韻と反復を活かした歌詞と奇天烈ポップサウンドによる「一度聴いたら忘れられない感じ」と、前作『OTOTUNE』から顕著になり始めた「感情をストレートに歌う意志」とが両立できている。次に、「君」への応援歌であると同時に、このバンドの根本――フレデリックがなぜ歌うのか――に迫る内容にもなっている。そして《みんなちがってみんな優勝》というキーフレーズは単なる綺麗事ではなく、それぞれの日々をしっかり闘っていこう、という現実を踏まえたメッセージとして歌われているのだ。どこをとっても核心的なこの曲は、メジャーデビュー後にリリースしたミニアルバム3部作を通して、自らの武器を確認できたからこそ生まれたのだろう。新曲だけではなく、インディーズ時代の曲のリアレンジ版やライブ音源も収録し、あらゆる角度からバンドの「今」を伝える本作。「フレデリックは今を歌うバンドです」とライブのMCでもよく話していたが、そんな彼らのポリシーを地で行くような1stシングルだ。（蜂須賀ちなみ）