社会、テロリスト、会社、マスメディアなどに《チクショーチクショーふざけんな／この世はとっくに終ってる》とささくれだった言葉をブチまける表題曲“ふざけんな世界、ふざけろよ”に、驚きとともに胸がすくような快感を覚える黒木渚の5thシングル。その言葉たちと、軽快なピアノの旋律が先導する陽性のオーラを纏ったサウンドのギャップが瑞々しい作品だ。自分自身、それを取り囲む世界と対峙・勝負し続けている彼女が、《駆け上がって　転げ落ちて人生はコメディ》と人生哲学をさらけだし、《苛立ちや涙晴れるような　しょうもないジョークと／果てのないビールで　愉快に暮らせたら》というささやかな日常の希望を歌うことほどリアリティを持つものはない。怒りは疲れるし、もし諦めていたらわざわざパワーを使って怒る必要などない。怒ることは、そのものを愛するがゆえの行為だ。たとえ腐った社会であっても、つまらない慣習があったとしても、その時代に生きている宿命を受け入れ、世界のあらゆるものを無限大の愛で抱きしめながら世界を描いている今年の黒木渚にワクワクする。（岡崎咲子）