孵化直前のざわめき

flumpool『EGG 』
発売中
ALBUM
flumpool EGG  - 『EGG』『EGG』
どの角度からでも優等生だと思われるために取り繕っているように見えたから、正直かつての彼らに強く惹かれることはなかったが、当時の自分がこのアルバムを聴いたらひっくり返るんじゃないかと思う。4枚目のフルアルバムとなる本作は、言ってしまえば、今まででいちばん整ってはいないアルバムだ。でもそれが良い。果てしなく自由な全14曲はエゴとエゴのぶつかり合いそのもので、もはや「flumpoolらしさとは?」という問いにすら捉われていないから濃度も輝度も異様に高い。2012年の“Because... I am”から表立ってきたが、思えばこのバンドは長いこと自我を巡る闘いを続けてきた。その決着が着いたのかどうかはわからないし、また別の壁にぶつかることだってあるだろう。しかし、自らの原点=アコースティックに立ち返ったシングル『FOUR ROOMS』、野外凱旋ワンマン、山村曰く「我(が)や欲を出しまくった」Zeppツアー、そして本作……と歩んできた道の上の一点一点は確かにここに結実している。だからこそ本作が最高傑作にはならないはずだ。この先の物語を追いかけていきたい。(蜂須賀ちなみ)
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