生存者であることの実感と責務

MAN WITH A MISSION『The World's On Fire』
発売中
ALBUM
MAN WITH A MISSION The World's On Fire
前作『Tales of Purefly』は、フィクションの物語の中でロックを鳴らすことにより、MAN WITH A MISSION(使命を持つ者たち)というプロジェクトの根源的な動機に触れる素晴らしいアルバムだった。2015年はタイアップシングル連打や米バンド=ゼブラヘッドとのコラボ、そして2度の欧州ツアーという国内外での成果を挙げ、それらが今回のアルバムを形作っている。必殺曲だらけなのは言うまでもないだろう。今の彼らは、何も知らない無垢な子供ではない。多くのことを経験して、何かが生まれては失われてゆく世界の記憶を積み重ねている。そんなシングル群の印象があったから、EDM/トランスさえ遠い過去のように響き、新たなロックサウンドを塗り重ねてゆくオープニング“Survivor”のイントロが一発で腑に落ちるのである。海外プロデューサー陣と手を取り合った新曲群のサウンドは、記憶/経験が育むエモーションの奥行きを備えていてどれも素晴らしい。生の実感を掴むために、MWAMは痛みや孤独感を引き受け続ける。なんて実直なロックバンドなのだろう、とこれまで以上に胸を焦がす一枚だ。(小池宏和)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする