エミネムが創設したレーベル、シェイディ・レコードの15周年を記念したコンピ盤。1枚目は現在在籍しているメンツによる新曲13曲が並び、2枚目はその歴史を振り返ったベスト集。50セントやD12、オービー・トライス(懐かしい!)などによる往年のヒットを聴くと、エミネムの選球眼の鋭さと当時の天下無双ぶりが嫌というほど伝わってくるが、やはり興味深いのは1枚目。スローターハウスやイェラウルフなど強靭な戦友たちも力強いトラックを提供しているが、なんと言っても主役はエム様。D12、バッド・ミーツ・イーヴィル、さらに客演したものを含めると、13曲中、9曲に登場。どの作品でもキレッキレなラップをかましているけど、面白いのは彼による相乗効果も半端ないこと。特に故郷へ捧げた“デトロイトvs.エヴリバディ”では、エミネムに感化されたのか、客演している旧友ロイス・ダ・5フィート・9インチはまだしも、ビッグ・ショーンやダニー・ブラウンの気合の入り方も尋常じゃない。アーティスト歴20年におよぶエミネムだが、その現役感はまったく衰えないどころか、やはり彼に敵う者はいまだそうそういない。(内田亮)