「ロックの神」の存在を本気で感じさせる驚異の新作

AC/DC『ロック・オア・バスト』
発売中
ALBUM
AC/DC ロック・オア・バスト
マルコム・ヤングが病気により離脱し、参加不能の状態で制作された初めてのアルバム。既報の通り、さらにはフィル・ラッドが逮捕されるという事態も生じていて、どう考えても録音時のコンディションが良好だったとは思えないのだが、結論から言って内容はスゴく良い! 彼らの音楽は基本的に変わらないから、聴く側の気分に左右される部分が大きいのかもとか思ったりもしつつ、個人的にはここ数作で最も第一印象からガツンとくるものを感じた。
 
思い起こせば、シンガーのボン・スコットを亡くした直後に、あの怪物作『バック・イン・ブラック』を作り上げたバンドだし、苦境をバネに優れた音楽を生み出す能力を備えているのかもしれない。ちなみに今作でマルコムの穴埋めをしたのは甥のスティーヴィー・ヤングだが、この人は88年のツアーでも一時離脱したマルコムの代理を務めており、容姿が似てるので人員が変わったことに気づかない観客もいたという。また、フィルがレコーディングだけはこなしたものの、リリース前にバンドを離れてしまったことも、やはり過去に1度あった。この時のアルバム『征服者』は一般的な評価は低いものの、筆者はラフな感触が大好きなので何か関係あるのかもと考えてみたが、本作はトータル・タイムの短い点で『征服者』と共通項があるとはいえ、プロデューサーのブレンダン・オブライエンは前作に引き続き申し分のない仕事をしている。

まあ、ひとまずはあまり考えすぎないようにして、最高のロックを大音量で味わい尽くしたい。(鈴木喜之)
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