キース・リチャーズのソロ・アルバムが最高でずっと聴きまくっている。
これまでのソロのようにバンド(エクスペンシヴ・ワイノーズ)でせーので作ったアルバムももちろんいいし、それこそがキースらしい、と思ってたんだけど、
今回のアルバム『クロスアイド・ハート』を聴いてかなり目からウロコ的な発見があった。
今回のアルバムはキースが作った曲を、ドラムのスティーヴ・ジョーダンと共にベーシックな形にして、そこからいろんなミュージシャンが音を加えていって作られた。
ということは、ベーシックにはキースのエッセンスが純度100%で注ぎ込まれ、そこからさらに今度はキースのプロデュース感覚のようなものによって仕上げられていったということになる。
つまり、キースのすべてが、こぼれることなく一曲一曲に注ぎ込まれているのだ。
バンドでせーので一発で録ったほうがなんとなくキースっぽいし純度が高そうに感じるが、
実はこの2段階のやり方のほうが、純度高くキース汁が取れているのである。
実際、このアルバムはキース好きにはたまらない。
一見ラフなキースの楽曲の中にあるリリカルさ、一見ラフなキースのプレイの中にある繊細さ、
それが今回の「ラフじゃない」作り方によってぐっと全面に出ている。
ロックンロールなのにアンビエントのような空間性も、ルーズなのに完璧なタイム感も、
そして何より、風が吹いてくるようなキースの曲の独特のコードの動きとリフが、
このアルバムには溢れている。
2本、3本と絶妙に重ねたキースのギターと、時に入ってくるワディ・ワクテルのギターが絡み合って、
それに身を任せていると心が「何か」で満たされる。
その何かがロックンロールだと言う必要はもはやないでしょう。