NOTHING COMPARES 2 U

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生きにくい人生を生きた人だったと思う。
プリンスという名前を捨てたことも、自ら顔に奴隷と文字を書きジャケットに登場したことも、彼が選択した生き方がもたらした必然だった。どうしても彼は生きにくい人生を選択してしまう人なのだと思う。
彼は自分の信じる正義が、他者に否定されることが許せなかった。自らの正義を貫くことで例え自分が生きにくくなっても、妥協することは絶対にしなかった。それは音楽に於いても、生き方に於いても同じだった。
だからこそ、彼は他者と分かりあえることを誰より強く望んでいた。その為に、彼は表現に向かった。
音楽があれば、分かりあえない他者とも、心が繋がると信じていた。彼の音楽にはそういう意志がいつも貫かれていた。
彼は、とても生きにくい人生を生きたが、決して否定や絶望に向かわなかった。
いつも理解を信じ和解を求めた。彼の音楽は肯定の力に支えられていた。
ここ数年、彼は穏やかな時間を過ごしているように見えた。創作への意欲も強く、僕は新しい黄金期が来ると信じていた。
プリンス自身も手応えをかんじていたはずだ。
そんな時の、突然の時間の切断。無念過ぎる。
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