ウォッシュト・アウトでどこかの世界に出発する!

ウォッシュト・アウトでどこかの世界に出発する!

猛暑が続いていますが、そんな時期にぴったりすぎるウォッシュト・アウトの新作『パラコズム』。
聴いた瞬間、さささっと荷造りして旅に出たいという衝動に駆られる?
そんなアルバムです。

すでにいろいろなところで報じられていますが、『パラコズム』はそのタイトルが表すように、『ナルニア国物語』や『中つ国(ミドル・アース)』などといった架空の世界と同種の事象を探求するアルバム。

「パラコズム」とは、直訳すると「空想の世界」という意味ですが、つまり、その想像の世界では独自のルールや価値観、ひいては「種」があるわけです。
平たく言えばファンタジー、エスケーピズム。
子供の頃とか、友達同士で勝手に作った世界で生きてみたり、しましたよね‥.??
そういう概念のことです。

で、このアルバム『パラコズム』が素晴らしいのは、古今東西様々なファンタジーが存在するなか、ウォッシュト・アウトことアーネスト・グリーンは、ベッドルーム・ミュージックの作り手という自らのアイデンティティから目を背けることなく、むしろそうしたバックグラウンドを持つからこそ、この究極的に「隔離された」世界を打ち立てられた、ということなのだ。

50以上もの楽器を使い、祝祭的で開放的で「明るい」様々な音色もまさに、そうした哲学のもとで取捨選択され、磨かれている。


で、さらには、例えば上の"It All Feels Right"がそうであるように、大人になったからこそしみじみくるようなところを感じとることができるのが素晴らしいのだ。
「東に向かって出発する。週末はすぐそこ。外は暖かくなってるし、It All Feels Right=しっくりくる、全部大丈夫な感じ」と歌いつつ、「目を閉じて昔のことを考える。すべてがうまくいくような」と歌われている。

大人になってからも味わうような、喪失とそれを後から客観的に振り返って美しいと思うようなエモーションが、原色の美しさと苦い気持ちが交じり合って最終的に「諦め」にも似たポジティヴな感覚へと転換されていくのがなんともいい。

「音楽が大音量。It All Feels Right」っていうフレーズがあるのもまた、最高。

アルバムの発売は8/7。
8/1発売のロッキング・オンでも記事を掲載予定ですので、楽しみに待っていて下さい。(羽鳥)
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