ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、最新ライブセット世界初披露の東京公演を目撃!

ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、最新ライブセット世界初披露の東京公演を目撃!

ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、最新作『Again』をひっさげての来日ツアー。
2月28日、最新ライブセットが世界初披露された大注目の東京公演に行ってきました。

まずは、スペシャルゲストのジム・オルーク&石橋英子からスタート。
ジムの操作する有機的な電子音響が地をつくり、その上で、石橋がフルートにエフェクトとループを重ねて図を描いていく。なんとも幽玄で不定形なアンビエント。
時折、混ぜ込まれるアブストラクトなビートに体が揺れ、水面のように絶えず現れ続ける新たな表情に心身が研ぎ澄まされていく。
今思えば、続く異次元のライブへと向かうための、イニシエーションのようでもあった。

そして、スティーヴ・ライヒ“It’s gonna rain”が流れる中で転換が完了し、いよいよ本日の主役へ!

今回のコラボレーションアーティストでVJを手掛けるFreeka Tetが一足先にステージに登場し、最新作『Again』のタイトルトラックがプレイされる中ついにOPNが降臨。
最新作のなかでも珠玉の一曲“World Outside”へと続き、舞台を覆うものすごい量のスモークと、スペクタクルなライティングが炸裂する中、スクリーンに赤バックで「AGAIN」のタイトルが映されると、フロアの期待感は最高潮に!

ところが、その後、まさかの人形劇が映し出される。
機材机の上にミニチュアのステージセットが用意され、ビデオエフェクトや他の映像素材を交えつつ、その様子がリアルタイムでステージ上の巨大スクリーンに映写されるのだ。
しかも、作り込みがすごく、ミニチュアステージの中にも照明やスクリーンが設けられ、なんと卓上の機材までしっかりと造形されている。
どこかノスタルジックでありながらも、めちゃくちゃ新しい。OPNの音楽性を象徴するような仕掛け!

以後、最新作の楽曲を主軸に大傑作『Replica』や『R Plus Seven』の楽曲も織り混ぜた豪華なセットに続くのだが、この映像演出が今回のフロアの性質を特異なものに変えていたと思う。
ウーファーが唸り、電子音がキラキラと乱反射する異次元の音楽体験にとめどない快楽が駆け巡る一方で、
徐々に、私たちが立っているフロアもミニチュアステージと同じく何者かに操作されているのではないかとすら思わされ、常に監視/管理されているような、なんとも言い難い居心地の悪さが湧き上がってくるのだ。

けれども、このメタな感じが、翻って「今ここ」で全てが生成されていることを強調していたようにも感じる。
約90分間にわたって巻き起こった、感性と理性のリミッターを外しにかかる超強烈な音と光の洪水。
その全ては、私たちの目の前にいるOPNによって、間違いなく今この瞬間につくりだされている。
根源的でいて、最も力強いライブミュージックの魔術性がこの上なく引き出されていたのだ。しかも、それは肉体的な方法ではなく、ある種のクールさとユーモアによって可能になっていたのが、なんとも……!

現代最高峰の前衛音楽家の想像力/創造力に歓喜し慄く、圧巻のステージでした。(平澤碧)
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