サウンドも楽曲もカラフルで多彩さを誇る『サージェント・ペパーズ』が、新たなミックスによって、さらに鮮やかに立体的になっていて驚く。
こういうリミックス作品を聴くと、
たとえば新しくなった平等院鳳凰堂や日光東照宮が、最新技術による修復作業によって「当時はこんな鮮やかな色でした！」と生まれ変わったのを見せられたような、時空を超えた不思議な感覚に陥ってしまうが、『サージェント・ペパーズ』は作品が作品だけにとてもマジカルな体験だった。
“ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ”のキラキラ感や、
“ア・デイ・イン・ザ・ライフ”の後半の、別次元に吸い込まれていくサイケデリックな渦の迫力は特にすごい。
それに比べて、２枚目の未発表テイクの素朴な美しさ。
サイケデリックなお化粧をぬぐったら、ただただいい曲だった――
という当たり前のような奇跡が感じられる貴重な体験だ。
別テイクは話し声なども入っていて生々しく、目を瞑って聴いていると、ザ・ビートルズのメンバーがレコーディングしている現場に、自分が透明人間になってそこに潜入しているような奇妙な錯覚に時折陥ってしまい、どきどきした。
６枚組のスーパー・デラックス（ボックスセット）を全部聴いたら、一体どんな体験が待っているんだろう？？？
１CD、２CD、２LP、６枚組スーパー・デラックスのすべて、５月26日世界同時発売です！
児島由紀子さんが体験した、ロンドンのアビイ・ロード・スタジオで行われた試聴会の模様はこちら。
http://ro69.jp/blog/kojima/159024
ロッキング・オン5/1発売号のコレポン通信でも、ジャイルズ・マーティンのコメントを掲載！（井上貴子）
２枚組の内容は以下のとおり。
１枚目は、新たにミキシングされたもので、オリジナルのイギリス盤の「Edit for LP End」（LPの溝の最後の部分）も収録。
2枚目は、アルバム収録曲13曲の未発表の完全テイクを含む18曲を新たにステレオでミキシングして、アルバムと同じ曲順に並べたCD。
未発表の“ペニー・レイン”のインストゥルメンタル・ヴァージョンと2015年のステレオ・ミックス、そして未発表の“ストロベリー・フィールズ・フォーエバー”の完全な2テイクも収録。
