今放ちたいエネルギーのすべてがここに

とっちらかったアルバムである。“RAINBOW”は2015年10月頭にできた曲だし、逆に“ズレてる方がいい”は前作『MASTERPIECE』よりもさらに前の2011年頭にはできていた曲だし。蔦谷好位置、亀田誠治、村山☆潤、宮本浩次本人と、プロデューサーが4人も参加しているし。「これがエレカシ!?」と驚く“TEKUMAKUMAYAKON”のような曲もあれば、アレンジが違ったら『生活』に入っていてもおかしくない“なからん”みたいな曲もあるし。打ち込みもあるし、ストリングスもあるし、バンドで一発録りもある。“Under the sky”は“永遠の旅人”のバージョン違いだが、アルバムの構成上そうしたわけではなく、村山☆潤が「もうひとつ作りました」と持ってきたバージョンがよかったのでそっちも採用したという。要はハナからまとめる気がない。そのまとめる気のなさととっちらかりっぷりが「強い曲が並ぶ」「バラエティ感が出る」「どの曲もとにかくすごいエネルギー」と、いちいち素晴らしい結果につながっている。いい曲だらけ、本当に。シングルのカップリング曲をもっと入れればもっと早めに出せたのに、ギリギリまで新しい曲にこだわった宮本に感謝。（兵庫慎司）

収録曲：
1.3210
2.RAINBOW
3.ズレてる方がいい
4.愛すべき今日
5.昨日よ
6.TEKUMAKUMAYAKON
7.なからん
8.シナリオどおり
9.永遠の旅人
10.あなたへ
11.Destiny
12.Under the sky
13.雨の日も風の日も

※『ROCKIN'ON JAPAN』2016年1月号より転載

過去のレビューはエレファントカシマシのアーティストページをご確認下さい。
http://ro69.jp/artist/2218

次の更新は2017年3月20日（日）7:00です。（毎日7:00、19:00公開予定）