【全アルバムレビュー:エレファントカシマシ】21st『MASTERPIECE』

【全アルバムレビュー:エレファントカシマシ】21st『MASTERPIECE』 - 『MASTERPIECE』2012年5月30日発売『MASTERPIECE』2012年5月30日発売

人生のホームラン王は誰だ

『MASTERPIECE』の他にタイトル候補として挙がっていたのは『ホームラン王』だったという話があるが、この話の心は、宮本も歌っているが、《「誰の人生だってMasterpieceさ」》――つまり、みんなホームラン王なのさということである。かつてMLBのホームラン王、マーク・マグワイアが50本目の本塁打がかかった最終戦を出産立ち会いのために欠場し、生まれた長男を抱え何を言ったのかというと、「この子が俺の50本目のホームランさ」という超クールなセリフだったのだが、このアルバムの全編に刻まれた究極のエレカシメロディこそ、宮本浩次の人生をかけた渾身のホームランだったのではないか。

この時45歳の宮本は、自分は今45歳なのだという真実を受け入れ、人生の代償として生まれたメロディを静かに肯定してみせた。誰しもを、「ホームラン王」に憧れた季節に立ち返らせ、そして「こんな人生でも俺のホームランなんだなあ」と呟かせる、確かな肯定としてのアルバム。そして、次作が生まれる。(小栁大輔)

収録曲:
1.我が祈り
2.Darling
3.大地のシンフォニー
4.東京からまんまで宇宙
5.約束
6.ココロをノックしてくれ
7.穴があったら入いりたい
8.七色の虹の橋
9.ワインディングロード
10.世界伝統のマスター馬鹿
11.飛べない俺

※『ROCKIN'ON JAPAN』2016年1月号より転載

過去のレビューはエレファントカシマシのアーティストページをご確認下さい。
http://ro69.jp/artist/2218

次の更新は2017年3月19日(日)19:00です。(毎日7:00、19:00公開予定)
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