【全アルバムレビュー:エレファントカシマシ】15th『扉』

【全アルバムレビュー:エレファントカシマシ】15th『扉』 - 『扉』2004年3月31日発売『扉』2004年3月31日発売

この国に彷徨える魂への決死の凱歌

“歴史”の森鴎外に“化ケモノ青年”の武士道への憧憬、《この国ではヒトの魂と、四季折々の風景が宝》(“ディンドン”)、《ここは一体何処だ?/21世紀の ここは東京だ》(“パワー・イン・ザ・ワールド”)……世界への最後通牒の如くささくれたモードを刻み付けた『俺の道』を経て、揺るぎない魂によって築かれてきた日本の歴史との対比で自らの生き様を真摯に捉え歌った作品であり、宮本個人の当時のパーソナルな想いがくっきりと浮かび上がってくる15thアルバム。今作を宮本ソロとしてではなくエレカシの作品として作り上げたことが、今日まで続くエレカシ一本道状態への大きな契機となっていることは間違いない。“生きている証”“傷だらけの夜明け”といったバラード名曲や“イージー”の雄大なロックワルツ感、“歴史”“一万回目の旅のはじまり”のオルタナ感など多彩な表情を見せる今作のラストを飾る“パワー〜”で轟々と燃え盛る《これは冗談じゃねぇ 戦いの歌だ/枯れ果てた大地の一輪の花》の絶叫には戦慄必至。(高橋智樹)

収録曲:
1.歴史
2.化ケモノ青年
3.地元の朝
4.生きている証
5.一万回目の旅のはじまり
6.ディンドン
7.必ずつかまえろ
8.星くずの中のジパング
9.イージー
10.傷だらけの夜明け
11.パワー・イン・ザ・ワールド

※『ROCKIN'ON JAPAN』2016年1月号より転載

過去のレビューはエレファントカシマシのアーティストページをご確認下さい。
http://ro69.jp/artist/2218

次の更新は2017年3月16日(木)19:00です。(毎日7:00、19:00公開予定)
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