今年の映画を勝手に分析①親父が不在、または情けない②息子がたくましく生きる③動物が頼り

今年の映画を勝手に分析①親父が不在、または情けない②息子がたくましく生きる③動物が頼り

(ドラえもんが実写になるなら、僕が出たいです!)


とでも言っているようなはりきった瞳のネコちゃん。この前向きな瞳に励まされる今日この頃。友達の友達のネコです。本文とは、あまり関係ありません。


今年公開の注目作が出そろったので、その傾向を強引に分析してみました。


1)親父が不在。
『ヒューゴの不思議な冒険』(マーティン・スコセッシ監督)
『ものすごくうるさくて、あり得ないほど近い』(スティーブン・ダルドリー監督/トム・ハンクス、サンドラ・ブロック出演)
両作品ともまるで場所も時代も違いますが、父親が亡くなり、息子がカギをもって冒険をするという物語。カギというのが象徴的で、それは少年の心を開くカギでもあり、未来を開くカギでもあり、または何も開かないカギだったりもするのですが、そういう現実を学ぶカギなのです。


親父が情けない。
『ファミリー・ツリー』(*ジョージ・クルーニー主演/アレキサンダー・ペイン監督の『The Descendants』)
『幸せへのキセキ』(キャメロン・クロウ監督/マット・デイモン主演の『We Bought a Zoo』)
『リアル・スティール』(ヒュー・ジャックマン主演)
日本語タイトルが少々がっくしな感じですが……この3作品に共通しているのは、父親がこれまで築き上げてきたものを失い、ダメダメな感じになっているということ。しかし、子供達が強くて、彼らに励まされながら、父親がなんとか立ち直る話。


2)息子がたくましく生きる
例えば父息子の物語だと、2009年に映画化もされたコーマック・マッカーシー原作の『ザ・ロード』などをすぐに思い出すわけですが、あの映画/原作では、父と息子がまだ対等の立場にあり、父が息子を守るし、冒険の過程で息子が父から何かを学んだりもするし、そして最後は息子が自ら未来を選ぶという設定だったわけですが、冒険する時は一緒でした。しかし、今年公開された映画は、もう父はいないかダメで、父から学ぶというよりは、父が子供に学ぶか、息子が独立して頑張るという物語が多いと思います。


それは、さらに考えると、この間の『ダーク・ナイト・ライジング』と『アメージング・スパイダーマン』の暗黒で疲れ切ったポスターにも象徴されていると思うのです。頼れるスーパー・ヒーロ的存在が見えづらい。またはいたとしても疲れ切っているということ。
http://ro69.jp/blog/nakamura/61386


それは、オバマ大統領も大変そうだし、ということにも関係しているのでは?……強引ですか?……しかし、オバマ大統領になって希望を見たのに、特に何も変わらず、若者が自ら立ち上がって、ウォール街占拠の運動が始まったのと、映画の中で、息子達がひとりで健気に頑張る姿というのがなんとなく重なったりもします。また世界の独裁者達が亡くなり、戦争が終わった今年、かと言って、何かに「勝利」したような感じも、これで世界が「平和」になったような気持ちにも全くなれない、ということにも関係しているのではとも……バットマンとスパイダーマンからそこまでは……深読みですよね。


3)だから動物が頼り!
『戦火の馬』(スピルバーグ監督)
『タンタンの冒険』(スピルバーグ監督)
『アーティスト』(仏モノクロ/無声映画)
『人生はビギナーズ』(マイク・ミルズ監督/クリストファー・プラマー、ユワン・マクレガー主演)
『THE FUTURE』(ミランダ・ジュライ監督/主演)


人間はよく分からない。だから、どの作品も動物こそが主役で、動物だけが友達だったり、動物が真実を知っている、という物語。これは人間の身近なファンタジーか、またはとても寂しいのか、または何が正しいのかよく分からなくなって、偏見のない動物こそが真実を教えてくれる、と思っているということか。


収拾が付かないですが、すいません。


漠然と考えていたのでとりあえずまとめてみたくなりました。しかしこういう分析というのはライターのクセ?で、こういう傾向がありますよね、と映画監督に言うと、大抵嫌がられます。


西部劇がやたら多かった年に、ポール・トーマス・アンダーソンにそう言ったら大変嫌がられました。『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の時です。「これは長い間かけて作ってきた作品で今年公開になったのは単なる偶然で、去年だったかもしれないし、来年だったかもしれない」と。スパイク・ジョーンズとウェス・アンダーソンのぬいぐるみな映画が同年に公開された時も言ったら同様の答えでした(笑)。


あ、写真のネコちゃんですが、友達の友達のネコなので、誰のネコなのか実は知りません。勝手に私のネコが紹介されている、というお怒りの方がいましたら、ご連絡ください。そして、正直こんなに長いブログを書いた本当の理由はこのネコの写真をブログに使いたかったからです。
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