エルトン・ジョン&レオン・ラッセル出演、キャメロン・クロウ監督のドキュメントでトライベッカ映画祭開幕

エルトン・ジョン&レオン・ラッセル出演、キャメロン・クロウ監督のドキュメントでトライベッカ映画祭開幕

ロバート・デ・ニーロがテロの翌年に、グランドゼロと至近距離だっため産業的に大きなダメージを受けたトラベッカ地区を復興しようと始まったトラベッカ映画祭。今年で10回目なのだが、4月20日、エルトン・ジョンとレオン・ラッセルが出演で、キャメロン・クロウが監督したドキュメンタリー映画、”The Union”で開幕した。

私は仕事で昨日は行けなかったのだけど、昨日の上映は無料で行われ、最後にはエルトン・ジョンのパフォーマンスまであった。

それで、代わりに今日観て来たんだけど、この映画は、エルトン・ジョンがレオン・ラッセルと作り、アメリカではローリング・ストーンが満点を付けて、去年の年間ベスト・アルバムでもなんと3位に輝いた『THE UNION』の制作過程を収めたもの。

エルトンが映画の終わりのほうに、”I LOVE YOU, LEON”というボイス・オーバーが入るのだけど、正に、この作品は、エルトンのレオン・ラッセルへのラブレターみたいな作品だった。アルバムもそういう気持ちで制作されたのだと思うので、それを映画にしたという感じで、内容としては非常に筋が通っている。とりわけ、エルトン・ジョンがこれを記録に残したかったのだろうというのは、すごくよく伝わってくるし、笑えるシーンもたくさんだし、貴重な映像もシーンもたくさん観られる。また、エルトンの昔の衣装の奇抜さと言ったら、ガガの全然上だったりして驚きだし。とにかくファンなら必見の作品だ。

というわけで、大変興味深い映画だったのだけど、唯一の不満は、キャメロン・クロンの視点がイマイチ緩いということだ。彼としてはこのふたりの天才は自分が何もしなくて、観ているだけで、映画になると思ってあまり何もしないように心がけたのかもしれないんだけど、という割には、突然何の効果もないのにモノクロに映像が変わったり、スーパー8になったり、たまに変化でもつけようかな、くらいな映像が入ったりする。編集もイマイチだった気がする。

さらに、スティーヴィー・ニックスが来るシーンがあって、最初はおーっと思うのだけど、彼女が、「私はあなたのヒーローでした」みたいなことを言うと、それが、どうしても、死にそうな人の枕もとで、死ぬ前に言っておきたかった一言、みたに観えてしまうのだ。そんな風に観えてしまうのは両者に対して失礼な気がした。実際レオン・ラッセルはレコーディングの途中で脳の5時間の手術を受けて、10日間レコーディングに来られないというシーンがあるので、確かにすごくよぼよぼしてるんだけど……。

感動したのは、レオン・ラッセルが、ソファに座っている時なんかは、本当にぐたーっとしているんだけど、ピアノの前に座って歌を歌い始めると俄然、元気になったりするところ。

あ、そうそう。コンサートのシーンではマイケル・スタイプが観客席から歓声を送っていた。

キャメロン・クロウは、『あの頃ペニー・レインと』があったからエルトンに頼まれてこの作品を監督したのかな?今年は、超久しぶりの長編もあるし、何よりパール・ジャムの20周年ドキュメンタリーも作っているので、お願いします!という感じだ。最も最近の長編『エリザベスタウン』はすごい期待していたのに、なんかあれもイマイチ緩い作品だったし……。

ただ、彼自身がインタビューするシーンがあって、その声も姿もいまだ『あの頃ペニー・レインと』の少年のままで、そこは感動したんだけど。

この作品の日本公開については、情報はないけど、例えば年末DVDになるとか、何かしらの形で日本の皆さんも観られるのではと予想。

トライベッカ映画祭では、キングス・オブ・レオンのドキュメンタリーも上映されることになっていて、それも観てくる予定だ。
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