『わたしを離さないで』が素晴らしかった@TIFFその14

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今回のトロント映画祭で最も期待していた作品のひとつ、カズオイシグロ(写真3真ん中)原作、マーク・ロマネク監督(写真右)の『わたしを離さない』が素晴らしかった。小説を読んでない方はぜひお勧めしますが(秋にぴったりです)、その映画化の何より素晴らしいところは、小説の”空気感”などというどうにでも解釈できる、だからこそ一番難しいそのトーンを、映画として完璧に(少なくとも私の中では)再現してみたことだ。

思い切りひんやりした透明感があって、緊迫感があって、そして思い切りメランコリック。

しかも、その中で演じる3人のイギリス俳優達が最高だった。キーラ・ナイトレー、キャリー・マリガン(写真左)、そして新『スパイダーマン』アンドリュー・ガーフィールド。3人とも素晴らしかったのだけど、とりわけ、キャリーと、そして、最高だったのは、アンドリュー・ガーフィールド。彼の演技には、心が張り裂けそうだった。声を発するだけでもう哀しいのだ(涙)(&しかもめちゃくちゃかっこ良かった)。

とても静かな映画である。だけど、心に突き刺さり、いつまでも離れない衝撃的な瞬間をいくつも描いてみせた作品。非常に洗練された難しいことをやってのけた作品だと思う。一緒に観た人は、「どこがいいのかわからない。何も起きないじゃん」と言っていたが。そういう感想も理解できる。しかし、私個人はトロントのベスト5には絶対入る作品だ。

記者会見にカズオイシグロさんがいらっしゃっていて、このすごく不思議な小説の設定の理由などから今作の映画化に関してまで、非常に興味深い話をたくさんしてくれた。いつか紹介できるチャンスがあればいいのですが。

脚本家のアレックス・ガーランドが近くに住んでいて、彼を尊敬しているから脚本をお願いした、という話も興味深かった。一見真逆なタイプに思えるから。とにかく、人気小説の映画化という、ほとんどが失望に終わるケースを映画版としてアイデンティティを持ちつつ、これだけの作品に仕上げた監督のマーク・ロマネクに拍手。

というわけで、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの底辺の人生映画”Biutiful" のハビエル・バンデムが素晴らしかったなど、他にも報告したいことはあるのですが、とりあえずトロント映画祭報告一旦終わります。というのも、すでに、NY映画祭が開始しているからです!
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