奈良美智ボブ・ディランをカバー!

奈良美智ボブ・ディランをカバー!

奈良さんの展覧会に行ったことのある方なら体験済みと思いますが、奈良さんの作品の中から音楽が流れてくることがよくあります。この小屋の作品もそうなのですが、なんと大事件が。

実は、この小屋の中から奈良さんがギターのみでカバーしたボブ・ディランの「くよくよするなよ」が流れてくる予定だったのです。展覧会開催の前日までは!それなのに会場のアジア・ソサエティが許可を取っていなくて、急遽使えなくなったのです。しかも、奈良さんがここでボブ・ディランをカバーした、ということには、当然今回の作品展で最も重要とも思えるテーマが流れていたのに。さらに、奈良さんは20歳くらいまで(24歳だったかも)バンドもやっておられたそうなのですが、「僕は一生絵を描いていくんだ、と決めたので、ギターがそばにあるとすぐに弾いてしまうから、決心した時に友達にあげてしまった」のだそう。それで最近友達の家にあったギターを弾いてみたらいい感じだったので、今回弾くことにしたという背景もあったのです。

これまで奈良さんの作品は”パンク”と結びつけて語られることが多かったのだけど、今回はパンクを聴き始める前に聴いていた音楽と関連付いた作品が展示されているのです。奈良さんは、パンクっぽい直情的な作品から、最近はより穏やかだけど、長くゆっくりと人の心に残っていく作品を自分が描き始めた、とおっしゃっていて、つまりそれが奈良さんがパンク以前に出会った音楽、ニール・ヤングとか、ジョニ・ミッチェル、ボブ・ディランなどの作品と関係しているのだと思います。つまり、自分の内面を徐々にその起源のほうに向かって掘り起こしているのだと思います。さらに、”パンク”っぽい作品を描くほうがずっと簡単なんだけど、より難しい穏やかな作品をゆっくりと時間をかけて自分が描き始めている、とも。

それで、実は奈良さんがずっと大事に保管していたアルバム100枚が厳選されてここに展示されているのですが、それにまつわるまた素晴らしい話があるのでまた次回。

あ、それで小屋で音楽が流せなくなって慌てふためいた奈良さんがTwitterで悲鳴をあげていたら、許可がすぐ取れる日本のインディ・バンドの方が手をあげてくれたのです。誰だったかは、奈良さんのTwitterで捜してみてください!
http://twitter.com/michinara3
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