アメリカで2016年に最も売れたアナログ盤25枚。アナログ盤を買うのはロック・ファン

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アメリカで2016年に発売されたアナログ盤の売り上げトップ25枚が発表された。リストは以下の通り。
http://consequenceofsound.net/2017/01/vinyl-sales-rose-26-in-2016-see-the-25-top-selling-releases/

1. Twenty One Pilots "Blurryface" 49,004枚
2. Amy Winehouse "Back to Black" 41,087
3. Radiohead "A Moon Shaped Pool" 39,861
4. The Beatles "Abbey Road" 39,615
5. Adele "25" 39,334
6. David Bowie Blackstar 39,334
7. Prince and the Revolution "Purple Rain" 35,244
8. Bob Marley and the Wailers "Legend" 32,899
9. Twenty One Pilots "Vessel" 31,006
10. Miles Davis "Kind of Blue" 30,495

11. Various Artists "Guardians of the Galaxy" 30,328
12. Chris Stapleton "Traveller" 29,707
13. Lana Del Rey "Born to Die" 27,450
14. Fleetwood Mac "Rumours" 26,644
15. Michael Jackson "Thriller" 26,092
16. Blink-182 "California" 25,549
17. Panic! at the Disco "Death of a Bachelor" 24,861
18. The Lumineers "Cleopatra" 24,120
19. Taylor Swift "1989" 23,364
20. Adele "21" 22,616

21. Led Zeppelin "Led Zeppelin IV" 20,919
22. Arctic Monkeys "A.M." 20,731
23. Nirvana "Nevermind" 20,255
24. Leon Bridges "Coming Home" 19,631
25. David Bowie "The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars" 19,373

まず特筆すべきは、トゥエンティ・ワン・パイロッツがトップ10に2枚も入っていること。

もう一つは、アナログ盤全体の売り上げが急成長したこと。

アメリカにおけるアナログ盤の売り上げは、2007年から9年連続で上がり続けており、昨年、アナログ盤全体の売り上げは、2015年に比べ25.9%アップ。

ちなみに、CDやアナログといったフィジカルのアルバム売り上げは、ダウンロード等を含むアルバムセールス全体の51.6%を占めている。そして、そのフィジカルのアルバムセールスは、2015年から11.7%下がっているにもかかわらず、アナログ盤そのものの売り上げは劇的に上昇しているのだ。

ただ、フィジカルのアルバムセールスのうち、アナログの占める割合はまだ8%である。

アナログの売り上げのうち、ロック・アルバムが全体の63%を占めていて、ロック・ファンがアナログ盤を最も買う傾向がある。

亡くなったこととも関係しているが、エイミー・ワインハウスから、ボウイ、プリンスなどの作品、またザ・ビートルズ、フリートウッド・マック、マイケル・ジャクソン、レッド・ツェッペリンなどの過去の傑作が売れている。ミレニアル世代が、レコード・プレイヤーを買って、とりあえず過去の名盤を掘り起こしているのではないかと思う。

去年NYで行われたフェス、ガバナーズ・ボールの3日目がキャンセルされたので、出演予定だったプロフェッツ・オブ・レイジが代わりにサプライズ・ギグを行ったのだが、その時私達の前に並んでいた13-16歳くらいの男の子達がまさにそんな感じだった。カニエ・ウェストとデヴィッド・ボウイのTシャツを着ていて、ブルックリンで買ってきたばかりというアナログ盤はボブ・ディランだった。そして、プロフェッツの列に並んでいるという。未来は明るい。恐らく彼ら世代はCDプレイヤーは持っていなくて、ストリーミングか、レコード・プレイヤーでという聴き方なのではないかと思う。

アナログ盤の売り上げは当初トレンドとされてきたが、約10年も続いているのだから、全体の割合は低いとはいえ、定着したと言っていいような気もする。

ちなみに、アナログ盤といえば……のジャック・ホワイトは、アナログ盤の製作が追いつかないので、ドイツからプレスの機械を8台も購入して、地元デトロイトに新しいアナログ盤の工場を作っている。本当は2016年の半ばにオープンと言われていたんだけど、オープンしたというニュースを聞かないので、まだ時間がかかっているのかもしれない。オープンすれば、デトロイトにアナログ盤の新しい工場ができるのは、なんと1965年以来だ。さすがジャック! 工場を開くなんてものすごい投資だし賭けだと思うけど、これがオープンすれば、アナログ盤が手元に届くのを永遠待つこともなくなるかもしれない。

それから現在、フランク・オーシャンのアナログ盤を永遠に待っている人達も世界中にいると思う。フランク・オーシャンは、1日だけ『ブロンド』の発売をしたが、アナログ盤を注文した人達は「予想以上の注文があったため、生産が追いついておりません」という悲しいお知らせを受け取ったはずなので。もう少し我慢しましょう。

ちょっと話はそれるけど、NINが新作を発表して、デジタルで買った人達に選択肢があった。「デジタルで発売したけど、人間と同じようにフィジカルなものとして存在するべきだと思うから、フィジカルなものを送ります」と。アナログを買っても良かったんだけど、フィジカルな何が届くのか楽しみで、そちらを買ってみた。まだ届いてないけど何なんだろう? 時代は完全にデジタルに移行する中、譲れないトレント・レズナーの拘りが感じられる。
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