M.キートンが『バットマン』ならぬ『バードマン』で久々主演。これが傑作!NY映画祭。

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ある世代にとって『バットマン』言えば、クリスチャン・ベールではなくて、マイケル・キートンだった。

ティム・バートン監督がたっての希望で主演をお願いしたというマイケル・キートン。ジョーカー役はジャック・ニコルソンだし、主題歌を歌ったのはプリンスだしで、1989年公開当時、それはそれは世界をあげてのお祭り騒ぎだったのだ。

実際、DCコミックの映画化としては、『ダークナイト』(2008年)が公開されるまで、興行成績の記録を保持していた作品だった。当時のノリと盛り上がりが分かるのは、このプリンスの映像かも。
http://en.musicplayon.com/play?v=478997

今回マイケル・キートンが主演した『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』は、彼のそういうキャリアを前提として使った最高のフィクション。

監督はなんと言っても、『アモーレス・ペロス』(2000年)、『バベル』(2006年)のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥだ。彼の作品はこれまでシリアスで重いものが多かったのだけど、「だからこそシリアスのは今回は無理」ということで敢えてコメディに挑戦!

というだけで、もう期待値が上がるが、キートンがバットマンだったということを上手く使っているというだけでも、一筋縄ではいかないし、何しろ長回しが多発で、その中からリアルが見えてくるという素晴らしい作品なのだ。

しかも、カメラを担当したのは、あの『ゼロ・グラビティ』(2013年)のエマニュエル・ルベツキ!

『ゼロ・グラビティ』では宙に浮かんで挑戦し、今回は、地上で可能な限り難しい挑戦をしている。長回しなので、俳優のほうも、絶対間違えられないから、ものすごい大変だったはずだし、楽しかったはずだし、とんでもない臨場感なのだ。しかし、エドワード・ノートン、ナオミ・ワッツ、エマ・ストーンなどが腕をふるって最高の演技を見せてくれている。

物語は、かつては『バードマン』というスーパーヒーローを演じたマイケル・キートンが、その後ハリウッドで低迷。昔「君の誠実なパフォーマンスに感謝」とカクテルナプキンに書いてくれた作家レーモンド・カーヴァーの言葉を信じて、短編『愛について語るときに我々の語ること』を元に、キートン演じる主人公が脚本、監督、主演を務めて舞台化し、復活を果たそうという内容だ。

スーパースターが、落ちぶれて舞台復帰というシナリオは、よくある話し、ではあると思うのだけど、それがイニャリトゥの手にかかると、とんでもなく画期的で、無謀で、そして美しく映るのだ。そもそも、最初のシーンでは、キートンが宙に浮かんでいて、バードマンが彼に「映画スターが、舞台っていうのはどうなんだ」と話しかけているのだ。

そのシーン、こちらの予告編で。
https://www.youtube.com/watch?v=uJfLoE6hanc

人間のエゴや弱さなどジレンマが浮き彫りになり、現実と幻想が交差して、真実が生まれてくるというマジカルな作品。そして、心が常に掻き立てられ、胸が騒ぐ感じというのは、監督ならではだ。

今回のオスカーの台風の目になる可能性も大。もしなったら、前回の『ゼロ・グラヴィティ』に続き、メキシコ人監督大健闘ということになる。お楽しみに!
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