GREEN DAY はなぜ復活したのか 2009.05.15 22:10 『ドゥーキー』を1000万枚もセールスした後、
GREEN DAYは長い迷いの季節に入る。
時は1990年代半ばを過ぎ、ロック・ミュージックはオルタナティヴという、
文字通り「新しくて何か別の」詩と音楽へと自由に拡張していったからだ。
そんな中にあって、GREEN DAYの単線的で奥行きのない「パンク」は、
わかりやすいことで時代から距離を置かれはじめる。
彼らも、ときに重くときに複雑な作品を提示してみるのだが、
歴史が証明してしまったように、正直、成功しなかった。

そして21世紀に入り、突如彼らはひとつの発明を手に入れる。
いまでは「パンク・オペラ」と呼ばれるそれは、
いくつもの曲が短いブレイクによって結合された、
組曲スタイルの話法、だった。
そしてそれは、突如として、熱烈な支持を受けた。
圧倒的評価も浴びせられた。
アルバム『アメリカン・イディオット』を携えたGREEN DAYは、
まるでいままでが悪い夢だったかのように、
まさに突如、時代のメインキャストに祭り上げられた。

なぜだったのか?

それは、ようやく彼らが彼らなりに、
「音楽的成長」と「語るべき思想」を手に入れたということなのだろうか?
そうではないと思う。
音楽的には繋げられるシークエンス自体に然したる変化はないし、
語られる内容も、
言ってしまえば『ドゥーキー』の頃から微塵も変わってはいないのだ。

では、なぜ突如としてGREEN DAYは「理解」されたのか?

それは、まさに「オペラ」ということにある。
つまり、それは、「物語」ということだ。
GREEN DAYは、「オペラ」という重層的な話法を取り入れることにより
(そして、その中でさまざまなキャラクターを登場させることにより)、
むしろ抜本的に「わかりやすく」なったのである。
ポップ・パンクという、ある意味ロックの中でももっとも「わかりやすい」話法の、
そのもっと先に、
より迅速に、正確に、あますことなく伝達できる話法があることを示したのだ。
イージーにわかる、から、誰もがブレることなくわかってしまう音楽へ、
彼らはその舵を切ったのだ。

だから、その音のパーツはむしろまったく揺れのないものとなり、
かぶせられるアレンジもその意味するところが笑ってしまうほど明確で、
話される詩も、ソープ・オペラ(そう、オペラなのだこれはどこまでも)のように、
そこに登場させられるキャラクターもあえて類型的で紋切り型で、
だから、「わかりやすい」のである。
いや、もう「わかる」、のだ。

あえて言うまでもないかもしれないが、
それはひとつの「奉仕」である。
メッセージの伝達ということにおいて、
それ以外のすべてを排除してしまうこと。
それは、ビジュアルひとつから、
ステージでのライヴ・パフォーマンスにいたるまで、
自らのアーティスト・エゴを、
彼らはあたかもアイドルのごときイメージの前に封印したのである。
もちろん、そのような「奉仕」を「パンク」の基盤に据えたのは、
GREEN DAYが初めてだったのだ。

その結果、ロック史上でも稀に見る強力なメッセージ発信力を持ちえたのは、
そういう理由によるのだと思う。



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