ストライプスの正体

ストライプスの正体

ホワイト・ストラプスのライブ・アルバム&ドキュメンタリー『アンダー・グレイト・ホワイト・ノーザン・ライツ』。
そのドキュメンタリーを観る。

2007年夏、風変わりなカナダ横断ツアーを敢行したバンドに密着したこの映像は、
ブルーズにその根源をもつロック・ミュージックの、
その宿命と、存在理由をびっくりするほどあっけなく、ごろりと目の前に転がしてみせた作品だった。
宿命ということはつまり、この音楽が旅を力学にしているということで、
ストライプスは、このツアーを通常のホール・ツアーに加えて、
無料の日中ミニ・ライブであったり、たった一音のライブであったり、あるいは先住民族の集まる午後の公民館みたいなところで老人たちと歌ったりといったことを重ねながら移動していく。
そこでは、その土地土地の、まさにブルーズを拾いながら、自らのブルーズに足していく、そんな光景が映し出されていく。
いうまでもなく、それが「伝承」の音楽、ブルーズだった。
この21世紀のバンドは、そんないまでは誰もやろうとしてもできないことを、愚直に繰り返していく。その様は、あらためてホワイト・ストライプスというバンドの特異性を顕著にすると同時に、
ブルーズ、ひいてはロック・ミュージックの、気の遠くなるような歴史と数え切れない思いといった背景を猛烈に想起させるのだ。
そして、そんな音楽が何ゆえ必要とされるのか。その存在理由が突如として明示される瞬間については、
これは実際に観ていただくほうがいいに決まっている。

というか、ロックに何がしか撃たれた人すべてに、どうか観てほしいと切望する。

これが、ホワイト・ストライプスの正体だった。
そしてそれは、ロックの正体だった。

凄まじい音楽だ、ロックって。
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