2009年超私的ベスト・アルバム、下半期編、第7位はPearl Jamの『Backspacer』。

ロックにおいて、なんにしろバンドが「復活する」という瞬間は眩しい。とりわけ、それがある種の時代精神を背負い、そのことに真摯に向き合った末に辿りついた場所であった場合には、格別なものがある。なぜならそれは、単なる人生の起伏ということを超えて、ともに生きたわれわれも含めた高揚を実現したものだからだ。
Pearl Jamは、とはいえ解散したこともなければ、活動休止したこともなく、地道に愚直にキャリアを重ね、そのときどきに素晴らしい果実と成功を収めてきたバンドである。だから、このアルバムをもって「復活」と名指しするのは、どうにも似つかわしくはないのだけども、それでもそう呼んでしまいたいのは、この作品が漲らせた音、その音そのものが、すでに「そのこと」を力いっぱい祝福しているからに他ならない。トレイに入れて、ボタンを押して、スピーカーから音が飛び出してきた瞬間に、世界がぱあっと明るく拓けていくのを感じずにはいられないアルバムだ。