U2、かつてツアーをいっしょに廻ったB.B.キングとの思い出を公式サイトに掲出

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今週ワールド・ツアーをカナダからキックオフさせたU2だが、B.B.キングの訃報を受け、
自身の公式サイトに追悼のページを設けている。

http://www.u2.com/news/title/when-love-came-to-town

シンプルに「B.B.King 1925 - 2015」とだけタイトルのあるそのページには、かつてU2がB.B.キングと世界をまわったツアーのときの映像がまとめられて掲出されている。

1980年代も末、すでにモンスター・バンドとなっていたU2は、B.B.キングをツアー・メイトに迎えたツアーを実行する。『Love Comes To Town Tour With B.B.King』と名付けられたそのツアーは、この日本でも1989年に実現した(横浜アリーナ、東京ドーム、大阪城ホールで行われた。U2にとっては、1983年以来の2度目の来日公演だった)。

1987年に『ヨシュア・トゥリー』をリリース、世界規模のロック・バンドに駆け上がったU2は、その1980年代的なサウンド・デザインを普遍的なロックのスタンダードとして普及させることに成功したわけだが、逆の見方からすれば、それは「ポスト・パンク」という音楽的には「伝統と断絶した一過性の音楽」にしか根を持たない、とても脆弱なものでもあった。実際、当時のU2にとって、ルーツ・ミュージックの素養を持たないことが、バンドの将来にとって、戦略的にも、そしてバンドの目的である、ロック・ミュージックのさらなる革新のためにも見過ごすことのできない問題としてあった。

よって、『ヨシュア・トゥリー』を引っさげた北米ツアーは、アメリカという「ロック・ミュージックの根源」をまるで巡礼するかのようなものとなった。ボブ・ディランを招き入れ、ヴァン・ダイク・パークスに指導を仰ぎ、そして、B.B.キングには、長く同じステージに立ってもらったのである。あまりにも1980年代的な、つまりは根無し草なポスト・パンク・バンドは、ブルースやフォーク、ゴスペル、ソウルといった大きな音楽の大河に身を投じ、学習し、自分たちの表現能力を高めるという壮大な実験を、ツアーの中で行っていたということになる。そのドキュメントは、『魂の叫び』として記録され作品化されている(そしてあえて補足をすれば、ロックの源流に湧き出た聖水をその体内に取り込んだ巡礼者U2が、1990年代に入るや、一転、グリッターでカオティックなロック・モンスターと化してモダン・ライフの最前線に戦場を移し、金色のジャケットをひらめかせながらシーンに舞い戻ってきた史実は、ロック史において決して読み飛ばすことを許さないラジカルな事件だった)。

公式サイトに掲出された映像の冒頭、ボノがB.B.キングを招き入れるその一連の振る舞いがぎこちなく、それだけに、この神様のようなミュージシャンをどれだけバンドがリスペクトしていたかがわかるものになっている。U2とB.B.キングはU2 with B.B.King名義でシングル「When Love Comes To Town」をリリースしている( https://www.youtube.com/watch?v=38_dBew9YT0 )。

U2が始動させた今回のツアーは最新アルバム『Songs Of Innocence』を引っさげてのものだ。つまり、彼らが少年だったころ、1970年代末期に体験した瑞々しいパンクの煌きに興奮した初期衝動、音楽との遭遇による喜びがテーマのひとつになったものだ。

おそらくU2は、このステージにB.B.キングとの思い出も加えていくだろう。このツアーには、音楽と遭遇したときの喜びと、そして、音楽への畏怖が加わることになるのだと思う。
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