いきものがかりの地元、海老名でのライブ2日目。雨の中、名曲を聴きながら感じたこと

いきものがかりの地元、海老名でのライブ2日目。雨の中、名曲を聴きながら感じたこと
老若男女、というのはポップアーティストを語る上でまず最初に挙げられる言葉だろう。
だが、今、本当の意味で老若男女に開かれ、愛されているバンド、ということになるとそれはやはり、いきものがかりをおいて他にない。
今日は特に、水野良樹と山下穂尊の地元、海老名でのライブであり、小さな子供から、小学生、その親御さん、その家族まで、まさに老若男女が集まっていることが印象的だった。
そして、そのすべての人が次から次へと歌われる名曲を口ずさみ、雨に濡れながらも笑顔になっていく光景は、ポップの在り方を追求してきたいきものがかりの歴史を振り返るに、あまりに感動的な光景だった。

いきものがかりは徹底的に開かれている。
それは、つまり3人がそういうバンドになりたい、なろうと決め、そういう3人に実際になってきたからだ。
そして、それはポップミュージックを作り続けることの真髄を、3人は最初から知っていたということにほかならない。
結成から17年、デビューから10年もの長きの間、ポップであれ、老若男女にただひたむきに開かれたものであれーー。
その思想を曲げることなく、ここまで歩んできたいきものがかりの歴史はそれだけで本当に尊いものだ。

本人たちからすれば細かな好不調はきっとあるはずだが、吉岡聖恵はいつでもほとんどパーフェクトな状態でステージに立つ。
その背景には、きっと僕らには計り知れない努力とプロとしての、ポップアーティストとしての、高く強い意識があるのだろうと思う。
僕は、「ああ、今日も聖恵さんの歌はパーフェクトなんだな」と感じるたびに、なんだか無性に涙腺が緩んでしまうのだが、今日はその瞬間に、10年間たゆむことなく貫かれてきたであろう重みがずしりときた気がして仕方なかった。
今日の歌は特に、素晴らしかった。

水野は最後、こう語っていた。

「僕たちはこれまでなるべく自分たちのことをしゃべらないできたんです。曲だけが届けられるようにしようも思ってきたんです。
でも、今日は僕たちのことばかり喋ってしまうーー」

説得力のある、感動的なMCだった。

そして、そんなMCの間、あるいはラストの曲が終わった時にも降り続いていた雨すら素敵な演出であるかのような、最高のライブだった。
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