吉井和哉の「GOOD BY YOSHII KAZUYA」がどんどんGOODになってゆく!?@長野ホクト文化ホール

吉井和哉の「GOOD BY YOSHII KAZUYA」がどんどんGOODになってゆく!?@長野ホクト文化ホール

吉井和哉にたくさんの花をもらったような、幸福感に溢れたライブだった。長野はまだ寒かったけど、心はむちゃくちゃ温まった。
SEの前から待ちきれない会場から手拍子が巻き起こり、曲の合間も「大好き〜!」「吉井さん、愛してるー!!」「私の方が愛してるもん!」というド直球の愛情表現力が男女問わず爆発。当然、ステージも熱くなる。なかなか行く機会がない場所だけに本当に熱く待ち望まれていたんだなあと、このツアーの意義を改めて実感させられた。

以下、曲のネタばれあり。
2ヶ所目の府中もすでに素晴らしかったが、10公演目を迎えてどんどん演奏が進化しているのも驚いた。今日は“BELIEVE”から“HEARTS”の歌がとても響いた。
このツアーのセットリストは本当に絶妙で、歌詞や歌の世界観が、まるで韻を踏みながらつながっているような、あるいは万華鏡の模様が少しずつ変わっていくような、手品のようなあざやかさがある。なるほどここで“ゴージャス”! えっ、そこで“バラ色の日々”!? みたいな。例えば、油と角砂糖と札束と悪魔の、という描写がヘヴィな“HATE”と、日曜日の朝の歯磨きの風景に平和の祈りを込めた“LOVE&PEACE”が同じ願いを描きながら補完し合っているとか。美しい点描(楽曲)をいっぱい描いてきた吉井だが、ひとつひとつの点をより強く彩飾し、線で繋いでいるような。コアファンも、初めて観た人も、親近感と刺激を同時に体験できるのだ。
中でも、インディー時代、自分がまだベースだった頃に初めて作った曲、として紹介された“LOVERS ON BACKSTREET”はひとつのハイライトと言ってもいい。昔からのファンにとっては12弦ギターを抱えた瞬間わくわくするが、懐かしさではない楽曲の新鮮なパワーに驚くはず。当時は歌い始めたばかりで、ギターを弾きながら上手く歌えなくて、と語っていたが、ヴォーカリストとして自信が持てた今だからこそ再び歌ってみたくなったのだろうし、それによって楽曲の素晴らしさが再評価される結果となった。
「初めて作った曲の主人公が娼婦って…どんだけ娼婦が好きなんだ!?」と自ら突っ込んでいたが、“FLOWER”のきれいに咲き誇れ!というダイレクトなメッセージと、地位も名誉もおそらく多くのお金も持たないだろう裏通りに生きる女性の言葉を借りて「あなたにもお花をあげましょう」と歌うことは、表現は違っても本質は同じことだ。20年以上前はそれを直接口にしなかっただけで。では、吉井和哉にとって「花」とは何かというと、愛であり、ロマンであり、勇気であり、夢であり、逞しい生命力である。
最終日5月18日の福島までツアーはまだまだ続く。JAPAN誌面でも追っかけます!

写真は終演後の楽屋にて。身長差30センチ以上もあるため撮影時につい背伸びしてしまうのを気遣ってしゃがんでくれているのが、鏡でばればれ…。申し訳ないですっ!
(井上)
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