新山詩織、祝・20歳! バースデー記念ライヴを観て思ったこと

新山詩織、祝・20歳! バースデー記念ライヴを観て思ったこと
2月10日についに二十歳を迎え、当日シングル『隣の行方』をリリースした新山詩織。
そしてその週末、昨日2月14日に行われた『20th Birthday Live「20」 』。

今回は全編、アコースティック編成のライブだった。とくにオープニング“だからさ”~4曲目“「大丈夫」だって”まで途切れることなく続いたメドレーは、いよいよ二十歳を迎えて凛と立つ新山詩織を、オーディエンスに見せてくれて、とても頼もしかった。

「私の原点を」と、ストリート時代を彷彿させる“TOKYO”(YUIカヴァー)、“I Feel The Earth Move”(Carole Kingカヴァー)、そしてトリビュートにも参加したフラワーカンパニーズ“深夜高速”を披露したパートも、存分にオーディエンスを沸かせてくれた。

本編をデビューシングル“ゆれるユレル”で締めくくったあと、アンコールではバースデーソング&ケーキのサプライズに新山が涙する場面も! 「ありがとうしか言えない」と何度も感謝を述べる新山を、何度もあたたかい拍手が包み込んだ。
素晴らしいバースデー記念ライヴだった。

アコースティックギターは、10代の新山詩織の「装備」だったのだと思う。
そもそも、2013年にメジャーデビューに先駆け、「0枚目のシングル」という意味合いでリリースした『だからさ』も、デビュー2周年記念ライヴ「しおりごと」もそうだが、新山詩織にとって「アコースティック」というスタイルは原点である。それはストリートで音楽活動を始めたという事実もさることながら、アコースティックギターという、それ1本で成り立たせることができるツールが、彼女にとって「装備」だったからだ。

何のための「装備」か。
それは、10代の新山が、何か(それは大人とか常識とか世間とか、そういうものだったのかもしれない)から、新山詩織という存在を守り、その存在価値を勝ち取るためだった。自分が一体何者なのか、何を信じて、どんなポーズをとるのか。新山詩織という繊細な人間は、自分ととことん対話して、時には自分を鼓舞して、生きていくためにアコースティックギターというツールを使った。だから、彼女の音楽活動の原点は他人とコミュニケーションをとって作り上げていくバンドではなく、自分とコミュニケーションをとり、自分を構築するための、1本のギターでなければならなかったのだと思う。

だけど、二十歳を前に新山詩織は気付いた。
自分という存在は、何かからそんなに躍起になって守らなくても、価値を勝ち取らなくても、ありのままでそこにいるものだと。

“Hello”は、サポートキーボードの村山☆潤の伴奏だけで歌われた。
《変わらないことも 変わった自分も/認めてあげたら 素直に笑える》という今の新山詩織の等身大のフレーズ、大切な言葉たちが、新山の「装備」のはずだったギターなしで、他人の奏でる音に委ねて歌われた。それが何よりも、彼女が変わった証だったように思えた。

「二十歳になるから」「二十歳を前に」とインタヴューで何度も口にしていた新山詩織。
彼女にとってのひとつの季節がしっかり実を結んだ形で終わって、ここから新章が始まるんだなと思った。(林田)
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